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レヴェンの著作

このページではレヴェンが発表した論文・書籍を紹介する

『毒薬としての恣意性』(1864)

レヴェンの学位論文。ヴェフィス国立研究院大学に招待されるきっかけとなった。

『法制からの恣意性の追放に向けた試論』(1866)

ヴェフィス国立研究院大学での最初の論文。過去の事例を引き、恣意的な法運用を防ぐための意思決定機構などを議論したものであるが、現代のレヴェン研究ではほとんど顧みられない。

『不能性による法運用のための小論』(1867)

不能性理論のさきがけとなる論文。『試論』での議論を一見合理的な機構の下で権力が腐敗した例を挙げるなどして再検討し、法制が成しえないことを設定しなければならないと結論づけるもの。

『不能性の実現について』(1867-8)

法に不能性を課すための機構についての議論。現代ではさほど有効なものではないと評価されている。

『予約の法学』 (1869)

罪刑法定主義の一部と事後法禁止の原則が提唱された論文。

『裁判の歴史』 (1870)

過去の裁判の形態を一般向けに紹介した書籍。恣意的な犯罪認定に対する近代法学的な批判が特徴である。[4]

『3つの不能性』 (1872)

罪刑法定主義と推定無罪の原則が確立された論文。これに対する教法学者の批判が後期レヴェンの諸活動のきっかけとなる。

『新時代の法制』 (1874)

『3つの不能性』をもとに法学者以外に対し不能性理論に基づく法制の有益性を主張する書籍。

『不能性理論の擁護』 (1876)

『3つの不能性』に対するリパラオネ教法学者の批判に対し、不能性の要請は「人間の法制において不可避的なもの」であると主張し、神学的基礎をもつ教法学と雖もその議論から離れることはないと主張した書籍。

「教法学批判」

『リパラオネ教法学の政治力学的研究』 (1878)

天神大学での最初の論文。リパラオネ教法学の変遷を時の権力との関係によって分析したもので、分析に近代法学・法哲学の概念が積極的に用いられている点が特徴的である。

『ファイクレオネ法制の恣意性』 (1879-80)

ファイクレオネ法制史において、恣意的な法運用の事例を取り上げ、それが可能であった理由を議論した論文。

『圧としての神』 (1880)

上の2本の論文をもとに、リパラオネ教法が圧政機構として機能してきたと批判した論文。「圧政機構」という語が登場した初めての文献でもある。

『圧政機構としてのリパラオネ教法学とその法学的批判 上・下』 (1882)

リパラオネ教法学がリパラオネ教法を圧政機構として安定させる試みであると論じ、不能性理論などの近代法学の観点による抜本的改革の必要性を主張した書籍。

「水器論批判」

『誰が容器を設計するのか?』 (1882)

当時の水器論で一般的であった相互説(法は民衆同士の関係を円滑に進めるためのものであるという論)を念頭に置き、水器論から国家の立法権を結論する従来の議論には欺瞞があるとする論文。

『単なる幸福の棄却としての階級』 (1884)

『設計』で相互説を念頭に議論を進めたことを正当化するため、上意説(法とは国家がその民を利用するためのものであるとする論)を中心に相互説以外の水器論を批判した論文。今までのレヴェンの論文・書籍で明文化されていなかった「民衆全体の幸福を実現するための舞台装置」として法を設定するという問題意識が明文化された論文としても知られる。

『不変性の要請』 (1885)

『設計』『棄却』の議論を発展させて、法を民衆全体の幸福のための容器として基礎づけるならば、それを設計する主体は民会でなければならないとする書籍。水器論による国家の立法権の基礎づけを明確に否定した初めての近代法哲学書でもある。

『人間の羽毛的実存』 (1886)

不能性理論も含め既存の法学が人間の責任能力を仮定しているとし、責任概念の基礎づけの必要性を主張した論文。多くの例が水器論から引かれていることや、「羽毛的」という表現が法によって必ずしも「疲れさせられない人間」の状態を比喩的に表していることから「水器論批判」の一つとして数えられているが、水器論のみの批判に止まるものではない。

「心圧論批判」

『心圧としての心圧論』 (1883)

心圧の概念を社会一般の法制に適用することがかえって圧政機構の安定につながり、民衆の心圧を生むことになるとした論文。

『民会における心圧論』 (1885-6)

『心圧』『要請』の議論を受け、心圧論を矛盾なく実現するには民会による法制が必要であると結論付けた論文。

##『法の権威』 (1886) 「水器論批判」「心圧論批判」で展開した民会の支持と責任概念の基礎付けを改めて整理した書籍。法の倫理的権威を基礎づけようという試みでもある。

『局所的基礎としての宗教』 (1886)

普遍主義に基く宗教的法制の批判を展開した論文。「教法学批判」「水器論批判」「心圧論批判」の議論を統合しより一般的な議論を試みたものである。

『安定した法の原理』 (1887)

レヴェンが提唱した法の要請を改めて基礎づける論文。彼はこれを執筆中に死亡した。